リアルタイム位相コントラストと皮質BOLD MRIを組み合わせた脳脊髄液流動とBOLD結合の新しい研究方法

脳脊髄液の流動と脳皮質BOLD信号のカップリング研究の新手法 学術的背景 近年、脳脊髄液(Cerebrospinal Fluid, CSF)が脳内の廃棄物除去において重要な役割を果たすことが注目されています。従来、CSFは主にクッション効果や免疫監視の役割を担うと考えられていましたが、近年の研究では、CSFが血管周囲空間を通じて流動することで、脳内の有害物質を除去する役割を果たす可能性が指摘されています。しかし、CSFの流動を駆動するメカニズムについてはまだ議論が続いています。一部の研究では、神経活動や自然発生する血管運動、呼吸による血管拡張など、大振幅の血管運動がCSF流動の主要な駆動力であると提唱されています。 CSF流動と脳皮質の血酸素レベル依存(Blood Oxygen Level ...

簡易通信:睡眠と麻酔中の脳のクリアランスは低下する

睡眠と麻酔状態における脳の排出メカニズムの抑制 背景 代謝産物や有毒物質を脳から排出することは、神経系の健康を維持する上で重要なプロセスです。しかし、その具体的なメカニズムについては議論が分かれています。広く議論されている見解の1つは、睡眠状態では、いわゆる”グリンファティックシステム”(glymphatic system)が機能し、脳の排出プロセスが促進されるというものです。一部の研究者は、長期的な睡眠不足がグリンファティックシステムの機能障害を引き起こし、アルツハイマー病などの神経変性疾患を悪化させる可能性があると提案しています。また、一定量の麻酔薬も脳の排出機能を高めると考えられています。しかし、この理論には疑問視する意見もあります。 論文発表 本研究はイギリスのインペリアル・カレッジ...