ROR1はGRB2を安定化させ、グリオーマ幹細胞におけるc-fosの発現を促進することで膠芽腫の成長を促進する
学術的背景 膠芽腫(Glioblastoma, GBM)は最も一般的で侵襲性の高い原発性脳腫瘍であり、治療が難しく、予後が極めて悪い。近年、手術や化学放射線療法などの手段が進歩しているものの、GBM患者の5年生存率は依然として4%未満である。GBMの再発と治療抵抗性は、主に膠芽腫幹細胞(Glioma Stem Cells, GSCs)の存在に起因している。GSCsは自己複製能力、持続的な増殖能力、および多分化能を有しており、GBMの再発と治療抵抗の鍵となる要素と考えられている。そのため、GSCsを標的とした治療戦略がGBM研究の重要な方向性となっている。 ROR1(Receptor Tyrosine Kinase-Like Orphan Receptor 1)は、受容体型チロシンキナーゼ様オ...