現代の抗真菌薬投与量は重症患者に十分か?集中治療室における抗真菌薬暴露の国際的な多施設共同薬物動態研究の結果―SAFE-ICU研究
国際多施設研究が明らかにした重症患者における抗真菌薬の用量不足問題 学術的背景 侵襲性真菌感染(invasive fungal infections)は病院内でよく見られる重篤な感染であり、特に集中治療室(ICU)の患者において発症率と死亡率が高いです。適切かつ迅速な抗真菌治療は、患者の転帰を改善するための重要な要素です。しかし、臓器機能障害、体液移動、併用薬などの要因により、重症患者の薬物動態(pharmacokinetics, PK)は大きく変化し、標準的な投与量では最適な治療効果が得られない場合があります。この問題は、肝毒性や腎毒性といった重大な副作用を持つ抗真菌薬で特に顕著です。そのため、感染を効果的に治療しつつ副作用を最小限に抑えるために、重症患者における抗真菌薬の最適な投与量を決...