非人霊長類のワクチン接種がHIV-1 Env三量体の四元エピトープを標的とする広域中和抗体系統を誘発

一、研究背景 ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のエンベロープ糖タンパク質(Env)は中和抗体の主要な標的であるが、その高い変異性によりワクチン開発が困難となっている。自然感染では、広域中和抗体(broadly neutralizing antibodies, bnAbs)が稀にしか産生されず、出現までに数年を要する。Env三量体模倣物質(例:BG505 SOSIP.664)は天然構造を安定に提示できるが、従来のワクチン研究では株特異的な中和抗体しか誘導できず、世界的に流行するHIV-1サブタイプを網羅することが困難であった。本研究では、糖鎖修飾を施した異種三量体の順次免疫戦略により、保存されたCD4結合部位(CD4 binding site, CD4bs)に焦点を当てたbnAbs誘導メカニ...

mRNA-LNPプライムブーストがプレクリニカルヒト化マウスモデルにおけるVRC01様広範囲中和抗体の前駆体を進化させる

mRNA-LNPがマウスモデルにおいてVRC01様の広範囲中和抗体を誘導および最適化 背景紹介 近年、広範囲中和抗体(bnAbs)の獲得がワクチン開発において重要視されています。特にHIV(ヒト免疫不全ウイルス)ワクチンの研究開発分野でこの傾向は強いです。HIVエンベロープ糖蛋白質(Env)はウイルスが宿主細胞に侵入する際の鍵となるもので、研究においてbnAbsの標的と見なされています。患者から分離されたbnAbsはHIVに対して高い親和性を示していますが、これらの抗体の前駆体は成熟抗体と同等の高い親和性を持っているわけではありません。したがって、これらの前駆体抗体を成熟したbnAbsに進化させることはワクチン開発における大きなチャレンジです。 有望なアプローチの一つとしてgermline-...