血管平滑筋細胞におけるインスリン受容体が動脈硬化プラークの安定性を調節する

研究背景 心血管疾患(CVD)は世界的に主要な死因の一つであり、特に糖尿病やインスリン抵抗性を持つ患者において、心血管疾患のリスクが顕著に増加しています。近年、糖尿病患者の予後は改善しているものの、心血管疾患関連の死亡率は同年齢の非糖尿病患者に比べて2~7倍高いままです。動脈硬化は心血管疾患の主要な病理的基盤の一つであり、プラークの不安定性は心筋梗塞や脳卒中などの急性心血管イベントの鍵となる要因です。不安定プラークは通常、薄い線維キャップ、血管平滑筋細胞(VSMCs)の減少、細胞外マトリックス(ECM)の減少、および炎症の増加として現れます。しかし、インスリン抵抗性や糖尿病がどのようにプラークの不安定性を引き起こすかについては、そのメカニズムが完全には解明されていません。 インスリンは血管内...

骨髄由来のNGFR陽性樹状細胞による動脈リモデリングの調節

骨髄由来のNGFR+樹状細胞が動脈リモデリングを制御 背景紹介 動脈硬化(Atherosclerosis)は心血管疾患の主要な病理基盤であり、その発症率は世界的に増加しています。これまでに多くの研究により動脈硬化の発症メカニズムが明らかにされ、治療薬も開発されてきましたが、完全には解明されていないリスク要因もあります。近年、骨髄(Bone Marrow)が動脈硬化の発症において重要な役割を果たしていることがわかりました。特に、骨髄と末梢血の間の相互作用(骨髄-末梢軸、Bone Marrow-Peripheral Axis)が動脈硬化の発生および進行において鍵を握ると考えられています。 神経成長因子受容体(Nerve Growth Factor Receptor, NGFR)、別名p75NTR...