直接レーザー書き込みによって製造された低損失ファイバー結合体積インターコネクト

背景紹介

光子統合回路(PICs)は、高速データ伝送を実現するために重要な意味を持っています。しかし、従来の光子統合回路は単一平面または少数の重ね合わせられた平面だけを使用していたため、光信号のルーティングは制限されていました。さらに、実際の応用では、結合損失をできるだけ低減する必要があります。現在の光子統合回路は、主に平面製造技術によって構築され、シリコン絶縁体(SOI)、シリコン窒化物(SiN)、リチウムナイオベート絶縁体(LNOI)などの材料が含まれています。しかし、これらの方法は、光路結合損失が高かったり、3D自由経路の光路が複雑で実現が難しかったりする問題にしばしば直面します。

これらの制限を克服するために、研究チームは、新しい製造方法として、光線曝露によって制御される屈折率(SCRIBE)技術を提案しました。これによって、中間孔メソポーラス二酸化シリコン構造内に正確な3D勾配屈折率(GRIN)の分布を書き込むことができます。本論文の著者は、SCRIBE技術を適用して、低損失、広帯域、偏光に非感応な光ファイバ結合の単一モード3D光体間接続デバイスを製造し、任意の3D経路内の導波路を実現することを目的としています。

論文情報源

2014年7月、Alexander J. Littlefield氏、Jack Huang氏、Mason L. Holley氏ら共同で、「Low loss fiber-coupled volumetric interconnects fabricated via direct laser writing」という研究論文を発表しました。この論文は『Optica』誌第11巻第7号に掲載され、関連研究に参加している主要機関にはイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の電気・コンピュータ工学部門などが含まれています。

研究の手順

研究の流れは主に以下の手順を含んでいます:

  1. 素材の選定と準備: 基礎素材として中間孔メソポーラス二酸化シリコン膜を選択しました。この素材は、高濃度のドープを施したP型シリコンウェハーを電気化学エッチングして形成され、900℃で30分間酸化処理されます。

  2. 光学デバイスの設計と製造: Nanoscribe Photonic Professional GT 3Dプリンターを使用して、中間孔の二酸化シリコン膜内に光ビーム露光を行い、導波路、GRIN光学素子、レンズを製造しました。

  3. 実験手法: 位置調整と多重露光技術を採用することで製造精度が大幅に向上しました。その他、自動アライメント技術と、反射防止コーティングを施した光ファイバを用いることで、ファイバからPICへの結合損失が著しく低減されました。

  4. データ収集と分析: ミクロリング共振器やブラッグリフレクタなどの異なる光デバイスについて、品質因数、伝搬損失、結合損失などの主要パラメータを測定し、光デバイスの性能評価および改善状況を評価しました。

研究結果の詳解

  1. 導波路経路の最適化: 光アライメントと多重露光技術によって、導波路経路内のスプライス損失を大幅に減少させました。初期の50dBから2.14dBまで減少しました。一方で、表面下レンズとGRIN導波路の勾配の統合により、ファイバ-導波路-ファイバの全互連損失50dBを2.14dBまで減少させました。ファイバアレイの損失を除外すると、総損失は1.47dBだけです。

  2. 品質因数と曲げ損失の最適化: 異なる半径条件でのミクロリング共振器の性能は、その品質因数が顕著に向上しました。例えば、半径30µmのミクロリング共振器では、品質因数が4,600から77,000まで上昇し、曲げ損失は3dB/cmまで低減されました。

  3. 偏光回転と波長分割の実現: 偏光回転と波長分割の間接続デバイスの機能を研究で示しました。具体的には、17層のMacNeille膜の偏光ビームスプリッタを作成しました。この新しいスプリッタは1450nmから1700nmの広帯域で良好な性能を示し、分割比は1550nmで+29.3dBと-11.7dBに達しました。

  4. 多チャンネルアレイ間接続回路の実現: 25µm間隔の六角形アレイ上で、独立した7チャンネルの間接続回路を成功させました。ファイバからチップへの結合が全チャンネルにおいて良好で、各チャンネルの伝送損失が均一である上、チャンネル間に明確なクロストークはありませんでした。

結論および応用価値

この論文は、3D光子統合回路(3D PICs)におけるSCRIBE技術の潜在的な応用の展望を十分に示しています。この技術の主な科学的価値は、任意の3D経路の光導波路間接続を実現できること、および多様なマイクロ光学素子を統合し、光ファイバの結合損失を大幅に減少させることにあります。さらに、この研究は、新型の3Dフォトニクスデバイスを実現するための実行可能な製造手法を提供し、将来の電信およびデータセンターにおける高密度の光間接続とレイアウトの変換などの応用シナリオに向けて新しい扉を開きました。

ハイライトまとめ

  1. 結合損失の大幅な低減: 表面下レンズとGRIN導波路の勾配により、ファイバから導波路への結合損失を0.45dBまで低減しました。

  2. 導波路とミクロリング共振器の品質因数の改善: 多重露光技術と位置調節を利用して、導波路とミクロリング共振器の性能を大幅に向上させ、品質因数は77,000に達し、曲げ損失は3dB/cmに減少しました。

  3. 偏光回転と波長分割の機能: 偏光回転器と波長分割器デバイスの成功し、SCRIBE技術を使用して複雑な光学機能の統合を実現しました。

今後の研究の方向性

将来的な研究方向性としては、SCRIBE技術によるIII-VとSOIの光子統合回路のさらなる統合、より高い屈折率を持つフォトレジストを研究して曲げ損失を削減し、レンズの集光