慣性測定ユニットによる自動歩行イベント検出:健康な被験者と中度から重度の障害を持つ患者

新しい自動歩行イベント検出方法:健康な被験者と中等度から重度の障害患者の慣性計測ユニット分析

Cyril Voisard, Nicolas de L’Escalopier, Damien Ricard, Laurent Oudre. Neuroengineering and Rehabilitation 雑誌 (2024) 21:104 https://doi.org/10.1186/s12984-024-01405-x

研究背景

歩行分析は、医学において様々な疾患患者の健康状態や病状進行を評価するための重要なツールです。慣性計測ユニット(IMUs)は、そのコンパクトなサイズ、低コスト、および統合の容易さから、臨床歩行分析で広く発展しています。しかし、既存の自動歩行イベント(GE)検出方法は健康な被験者において高い効率を達成していますが、歩行が著しく損なわれている患者においては依然として課題が残っています。

研究目標

本研究は、IMU記録からデータを抽出し、歩行が著しく損なわれている患者に適用できる改良されたGE検出方法を提案することを目的としています。

研究対象と方法

研究では、13名の健康な被験者、29名の多発性硬化症患者、および21名の脳卒中後の内反尖足患者の10メートル歩行IMU信号を記録しました。研究方法として、まず自己相関とパターン検出技術を利用して参照歩行パターンを識別し、その後、多パラメータ動的時間伸縮(mDTW)を適用してそのパターンを注釈し、信号中のすべてのGEを検出しました。

研究結果

健康な被験者のGE検出F1スコアは100%で、中位絶対誤差は8msでした。多発性硬化症および内反尖足患者では、F1スコアはそれぞれ99.4%および96.3%で、中位絶対誤差はそれぞれ18msおよび26msでした。結果は、本研究方法が健康な被験者において既存技術と一致し、病理患者においても良好な正確性を示していることを示しました。

研究結論

本研究は、IMU信号におけるGE検出のための有効な方法を提供し、歩行が損なわれている場合でも有効です。しかし、その信頼性を確保するためには、各患者群で評価する必要があります。

研究のポイント

本研究のポイントは、健康な被験者および病理的な歩行患者に対して有効なIMU歩行イベント検出方法を提案している点であり、特に中等度から重度の歩行損傷患者において革新性と実用価値を示しています。